高電圧碍子及び及びそれを用いた高電圧電力線
专利摘要:
電力設備又は電力線を構成する高電圧導体を位置固定するため、高電圧碍子の絶縁コアをその一端で高電圧導体又はその連結手段に対し連結する一方、その絶縁コアの他端に設けた金属製の締結要素を使用し支持部例えばタワーにその碍子を固定する。雷に対する保護性能をその碍子に持たせるため、更に、その端部間に並ぶようm個の電極を絶縁コアに装着して多電極系を形成する。電極の配置は、隣り合う電極間、絶縁コアの一端付近にある電極と高電圧導体又はその連結手段との間、並びに絶縁コアの他端付近にある電極とタワーに固定された金属製締結要素との間で、放電が生じうるような配置とする。その碍子には、多電極系が原因で発生する碍子沿面距離の短縮分を補償する補償手段も設ける。この種の碍子を使用した電力線では避雷器が不要になる。 公开号:JP2011515818A 申请号:JP2011501738 申请日:2009-03-26 公开日:2011-05-19 发明作者:ゲオルギー;ヴィクトロヴィッチ ポドポルキン 申请人:オトクリトエ アクツィオネルノエ オブシェストボ ”エンペーオー”ストリーマー”; IPC主号:H01B17-48
专利说明:
[0001] 本発明は、電力設備や高架電力線乃至送配電網で高電圧導体の位置固定に使用される高電圧碍子及びそれを利用した高電圧電力線(HEPL)に関する。] 背景技術 [0002] 高電圧碍子としては、襞状のリブを備えた絶縁性のコア(通常は磁器製)を、その両端に設けた金属製のフランジを利用し、高電圧導体や支持構造物に固定する仕組みの支持碍子が知られている。非特許文献1を参照されたい。この従来型碍子には、雷過電圧が発生した瞬間にフランジ間空隙にてフラッシュオーバが発生する、という問題がある。固定先の高電圧導体に印加されている稼働周波数電圧の影響を受けるため、フラッシュオーバは稼働周波数の累積アークに転化し、それによってその碍子が損傷することがある。] [0003] こうした累積アークから上掲の碍子を保護するには、既知の通り、金属製のロッドで保護間隙を形成すればよい。即ち、非特許文献2記載の如く、碍子に対し電気的に並列な関係となるようロッド間にスパーク放電用の空隙を形成すればよい。碍子表面に沿ったリーク経路や気中を通るフラッシュオーバ経路の距離より短い間隙距離になるようその空隙を形成しておけば、過電圧が発生した瞬間に碍子沿面ではなくロッド間保護間隙内でフラッシュオーバが発生するので、稼働周波数の累積アークが発生するのも碍子表面沿いではなくロッド間となる。反面、こうした保護間隙付碍子では、保護間隙でフラッシュオーバが生じたときに接続先送配電網に回路短絡が生じるため、その碍子が配備されている高電圧設備を緊急にシャットダウンする必要がある。] [0004] 2個の碍子からなる連碍子に関しても、各碍子に備わる金属製の接続端子上にロッドを設けてその碍子をアークの発生から保護する、という策が知られている。但し、上掲の碍子と違い、この連碍子では、金属製のリンク上にロッド状電極を固定することで、碍子間に3個のロッドをとびとびに配列する。特許文献1(H01T 4/02,1987年)等を参照されたい。その結果、1個ではなく2個のスパーク放電空隙が発生してその碍子のアーク沈静能がいくらか高まるため、この対アーク保護ロッド付連碍子では、一相地絡回路で一般的な数十Aオーダの波尾電流を好適に沈静させることができる。しかし、雷過電圧で生じる二相又は三相地絡回路にて一般的な100A超の電流は沈静させえない。] [0005] 技術面で本発明に最も近い従来形碍子としては、絶縁性を有する円筒状のコアに螺旋状の襞を複数個設けたものがある。そのコアの両端には金属製の電極が都合2個固定されており、当該コアの内部には案内電極が配されている。その案内電極は、コアの中途にありコア表面に向かって延びる金属突起を有しており、一種の中間電極として機能する。特許文献2(H01B 17/14,1998年)を参照されたい。この種の碍子では、雷過電圧が発生した瞬間に、一方の金属電極から中間電極を経て他方の金属電極に至る螺旋状の経路を辿り、そのコアの表面に沿って放電が進行する。フラッシュオーバ経路が長いと稼働周波数電圧による累積アークが発生しないので、この種の碍子であれば、その配備先電力設備をシャットダウン無しで稼働させ続けることができる。即ち、この種の碍子は、その本来機能に加え雷に対する保護機能も備えているので、一種の避雷器として使用することができる。] [0006] ただ、この従来型碍子が避雷器として常に役立つとはいえない。例えば、周囲の空気がひどく汚れている場合や、湿度が高い場合や、200kV超といった甚だしい過電圧の場合には、長い螺旋経路を辿っての放電ではなく、襞間空隙の絶縁破壊を伴う最短軌跡での放電が発生する。即ち、避雷器としての機能が失われるため、この碍子でも従前の碍子と同じくフラッシュオーバが累積アークへと転化する。加えて、コアの中途にある金属突起の作用でリーク経路が短くなるので、この碍子に加えうる最高の電圧は低く、碍子としての実効性もさほど良好でない。] [0007] また、HEPLとしては、高電圧碍子を介し支持タワーや支持ポールに導体を固定し、その碍子を避雷器で保護する仕組みのものが幾種類か知られている。特許文献3(H02H 9/06,2005年,譲受人は本願出願人)等を参照されたい。例えば、各種インパルス避雷器を碍子に対し並列接続した構成のものである。これについては特許文献4(H02H 1/00,1994年),特許文献5(H02H 9/06,2004年)等を参照されたい。] [0008] そうした従来型HEPLのなかで本願記載の構成に最も近いのは、特許文献6(H02G 7/00,1997年,譲受人は本願出願人)に記載のHEPLであろう。この従来型HEPLは、支持体、金属製の固定具によってその支持体に固定された碍子、連結手段によって碍子に連結されており高電圧で稼働する少なくとも1個の導体、並びに雷過電圧からその碍子を保護する手段を備えており、その保護手段はインパルス避雷器として構成されている。] [0009] そのインパルス避雷器が適正に選定され適正に接続・連結されていれば、この従来型HEPLでも、雷に対する高い保護性能を実現することができる。しかしながら、多数のインパルス避雷器を使用する必要があるのでこのHEPLは複雑な構成になり、同じ理由でその製造コストや組立コストも高くなる。] [0010] 米国特許第4665460号明細書 露国特許第2107963号明細書 露国特許第2248079号明細書 米国特許第5283709号明細書 露国特許出願公開第2002126810号明細書 露国特許第2096882号明細書 米国特許第4308566号明細書 露国特許第2183037号明細書 露国特許第2299508号明細書 露国特許第2346368号明細書] 先行技術 [0011] "High voltage techniques", Ed. D.V.Razevig, Moscow, "Energiya" Publishing House, 1976, p.78 "High voltage techniques", Ed. D.V.Razevig, Moscow, "Energiya" Publishing House, 1976, p.287 "Insulation of high-voltage installations", Kuchinsky, G.S., et al., Moscow, "Energoatomizdat" Publishing House, 1987, p.145] 発明が解決しようとする課題 [0012] 本発明の第1の目的は、ほどほどのコストで製造して稼働させることができ、碍子としても避雷器としても確実に機能する高性能な高電圧碍子を提供すること、ひいてはHEPLで使用される高電圧導体、変電所を初めとする電力設備で使用されるワイヤ乃至ケーブル等、電力線構成要素のうち高電圧下で稼働するものを好適に固定しうる碍子を提供することにある。] [0013] また、本発明の第2の目的は、技術的及び経済的に優れた性質を有するHEPLを提供すること、即ち稼働中に雷過電圧が加わったときでも確実に機能し、その構成が従来のHEPLに比べ簡素で低コストなHEPLを提供すること、ひいては送配電の信頼性を高めることにある。] 課題を解決するための手段 [0014] 上述した第1の目的を達成するため、本発明の第1実施形態に係り、電力設備又は電力線を構成する高電圧導体をそれ単体で又は共に連碍子を構成する他の高電圧碍子と協働して位置固定する高電圧碍子は、絶縁コアと、その絶縁コアの端部に固定具として備わる第1及び第2締結要素と、を備え、そのうち第1締結要素が、高電圧導体に対し、或いはその連碍子中でその前段にある高電圧碍子の第2締結要素に対し、直に又は連結手段を介して連結できるよう構成されており、またその第1締結要素とは逆側の端部にある第2締結要素が、高電圧導体用の支持部に対し、或いはその連碍子中でその次段にある高電圧碍子の第1締結要素に対し連結できるよう構成されている高電圧碍子であって、衝撃的な雷過電圧が加わったときに、第1締結要素とそれに隣接する1個又は複数個の電極との間、隣り合う電極の間、並びに第2締結要素とそれに隣接する1個又は複数個の電極との間でそれぞれ放電が生じるよう、絶縁コアに連結され且つその絶縁コアの端部間に配されたm個(但しm≧5)の電極からなる多電極系(MES)を、備えることを特徴とする。] [0015] 本実施形態では、MES内で隣り合っている電極間にスパーク放電空隙が発生する。その空隙の間隙距離g、即ち隣り合う電極間の距離は、その間隙に求められる絶縁破壊電圧の値に基づき選定する。具体的には、その碍子の電圧クラス、その碍子の想定用途、並びにその碍子で対処すべき過電圧の種類(誘導過電圧かそれとも直接落雷による過電圧か)を踏まえ、0.5〜20mmの範囲内で選定すればよい。本実施形態の現実的用途の多くでは、間隙距離gを数mm程度にすればよいであろう。] [0016] そのMESを構成する電極の総数mは様々な要因を考慮して決定する。考慮するのは、例えば、その碍子の電圧クラス、その碍子の想定用途、その碍子で対処すべき過電圧の種類、その過電圧に続く累積アークにおける電流の値域、並びにそのアークを沈静させるための条件である。当該条件については例えば特許文献9(H02H 3/22,2007年)の記載を参照されたい。後述の通り、電極は少なくとも5個あれば足りるが、アークに流れる電流が大きいことを踏まえると、本実施形態の碍子における電極の総数は200個以上とするのが望ましい。反面、本件技術分野で習熟を積まれた方々(いわゆる当業者)には自明な通り、多数の電極を碍子に設けることでその碍子の沿面距離がかなり短くなり、その碍子を使用できる最高許容電圧の低下等、その絶縁特性に大きな低下が生じる可能性がある。] [0017] 多数の電極でMESを構成することによるこうした不本意な結果を避けるため、本実施形態では、そのMESが原因で発生する碍子沿面距離の短縮分を補償する補償手段も設ける。この補償手段は、例えば、その隣接電極間リーク経路の長さが隣接電極間放電空隙の間隙距離に電極1個分の長さを加えた長さより大きくなるよう、少なくとも一部の電極間(k対の隣り合う電極間;但し3≦k≦m−1)に、絶縁面に沿った隣接電極間リーク経路を発生させる構成にするのが望ましい。本発明の技術的範囲内で補償手段が採りうる形態は多様である。k値の選定を含め、使用する補償手段の形態は、その補償手段が使用される高電圧碍子の種類及び具体的稼働条件に従い定めるべきである。] [0018] 例えば、MESを構成する電極を、それぞれ、絶縁コアへの装着に使用される幅狭な脚部と、その電極の隣にある電極の方を向く幅広な梁部と、を有するT字状の電極とすることができる。この場合、隣り合う電極間に生じる空隙、並びにそれらの電極の脚部間にある絶縁コア構成部分が上掲の補償手段として働く。] [0019] また、電極を本高電圧碍子に埋め込むこともできる。この場合、それらの電極を本高電圧碍子の表面から隔てる絶縁素材層、並びに本高電圧碍子の表面に達するよう隣り合う電極間に形成された切れ込み(例えばスリット又は円形孔)を設け、上掲の補償手段として働かせることができる。そうした構成では、個々の切れ込みを電極の埋込先部位に比べて深くすることで、或いは切れ込みのうち電極の埋込先部位より深い部分における対向面間隔を浅い部分における対向面間隔よりも大きくすること(即ち放射方向に沿って切れ込みの幅を変えること)で、絶縁面に沿った隣接電極間沿面距離を更に延ばすことができる。] [0020] 更に、その又は個々の電極が絶縁面(例えば絶縁コアの表面)から空間的に隔てられるようその絶縁面上に1個又は複数個の絶縁素子を配すると、それらの絶縁素子が上掲の補償手段として働く。例えば、絶縁面から突出するようm個の絶縁素子を設け、個々の絶縁素子上に電極を1個ずつ担持させるようにするとよい。] [0021] また、1個又は複数個、より一般的にはn個(但しn≧1)の絶縁素子によって、絶縁コアの表面から突出する絶縁性の螺旋襞が1個又は複数個形成されるようにしてもよい。例えば、絶縁性を呈する1個又は複数個の襞上に幾つかの電極を配する一方、残っている別の絶縁素子上に、個々の絶縁素子が電極を1個ずつ担持するよう、幾つかの電極を配してもよい。この場合、絶縁素子の総数はm+n個となる。] [0022] 絶縁性を呈する1個又は複数個の螺旋襞で1個又は複数個の電極を担持する構成を採る場合、例えば、単独で又は並走して形成されている螺旋襞のうち少なくとも1個の、少なくとも1個の端面(例えば前面)に、その電極を配するようにするとよい。その切れ込みは、例えば、隣り合う電極間に位置することとなるようその螺旋襞に形成するとよい。] [0023] そして、本実施形態は様々な種類の碍子に適用することができる。例えば、その絶縁コアの形状が、実質的に、円筒状、円錐台状又は平坦円盤状の碍子である。円盤状の絶縁コアを使用し本実施形態の碍子を実現する場合は、例えば、その絶縁コアの下面(底面)から突出するよう、絶縁性の襞を絶縁コアに少なくとも1個設けるとよい。] [0024] 同じく第1の目的を達成するため、本発明の第2実施形態に係り、電力設備又は電力線を構成する高電圧導体をそれ単体で又は共に連碍子を構成する他の高電圧碍子と協働して位置固定する高電圧碍子は、絶縁コアと、その絶縁コアの端部に固定具として備わる第1及び第2締結要素と、を備え、そのうち第1締結要素が、高電圧導体に対し、或いはその連碍子中でその前段にある高電圧碍子の第2締結要素に対し、直に又は連結手段を介して連結できるよう構成されており、またその第1締結要素とは逆側の端部にある第2締結要素が、高電圧導体用の支持部に対し、或いはその連碍子中でその次段にある高電圧碍子の第1締結要素に対し連結できるよう構成されている高電圧碍子であって、隣り合う電極間に放電が生じる配列になるよう電極コアに連結されたm個(但しm≧5)の電極を有し、本高電圧碍子を取り巻く稼働周波数電界の等電位線のうち1本又は複数本に沿い、本高電圧碍子の沿面リーク経路に直交するよう形成されたMESと、空隙によって絶縁コアから空間的に隔てられており、それぞれその一端が、静電的に又は空隙を介し第1及び第2締結要素のうち対応するものと電気的に接続されており、それぞれその他端が、空隙を介しMESの端部のうち対応するものと電気的に接続されている第1及び第2リンク電極と、を備えることを特徴とする。] [0025] 本実施形態では、過電圧が加わった瞬間に、MESの第1リンク電極側端部(具体的にはその端に位置する1個の電極)が高電位となり、それと同時にそのMESの第2リンク電極側端部が低電位となる。] [0026] そのMESの位置は稼働周波数電界の方向に対し直交している。即ち、その碍子におけるリーク経路の方向に対し直交しているので、沿面距離の実質的な短縮は生じない。従って、本実施形態では、MESを設けているにもかかわらず、沿面距離の短縮分を補償する手段を設ける必要がない。そのため、碍子としても避雷器としても確実に機能する碍子を低コストで提供することができる。] [0027] その絶縁コアとして円錐状のコアを使用する場合、MESを設ける位置はその絶縁コアの底部平坦面上にするのが望ましい。円盤碍子(別称:キャップ付ピン碍子)を構成する円盤状の絶縁コアの下面に同心状の襞を設ける場合、その絶縁コアの縁に沿ってMESを配置することが可能であるほか、そのコア上にある任意の襞の頂部平坦面上にもMESを配置することができる。] [0028] また、そのMESを、互いに異なる等電位線上に位置する複数個の部分で構成するようにしてもよい。即ち、本高電圧碍子の沿面リーク経路に対し直交する方向に沿い、互いに異なる位置にある等電位線上に個々の部分を配するようにしてもよい。それらMES構成部分の端部のうち、固定具たる第1又は第2締結要素に接続されていない端部には接続電極を設ける。MES構成部分同士はその接続電極を介し対向させる。対向している接続電極同士は静電的に又は空隙を介し相互接続させる。こうした構成は、円錐状の絶縁コアを有する碍子でも実現することができるが、円盤状の絶縁コアを有する円盤碍子の方が望ましい。即ち、円盤状の絶縁コアの下面に同心状の襞を設け、個々のMES構成部分をその襞のうち対応するものの端面上に配列するのが望ましい。] [0029] そして、第2の目的を達成するため、本発明に係るHEPLは、支持部と、それ単体で又は連碍子の構成要素として使用される碍子と、少なくとも1個の高電圧導体と、を備え、それ単体で使用される碍子、或いは連碍子を構成する碍子のうち初段の碍子が、その碍子に高電圧導体を直に又は連結手段を介し連結するための固定具となる締結要素を備え、それ単体で使用される碍子、或いは連碍子を構成する碍子のうちいずれかの支持部のそばにある碍子が、対応する支持部にその碍子を固定するための固定具となる締結要素を備えるHEPLであって、その碍子のうち少なくとも1個が本発明に係る高電圧碍子、例えば上掲のいずれかの実施形態に係る高電圧碍子であることを特徴とする。このHEPLでは、少なくとも1個の碍子(好ましくはHEPL内支持部1個当たり少なくとも1個の碍子)が、本来の絶縁機能だけでなく雷に対する保護機能も担うので、それとは別に避雷器を設ける必要がない。従って、雷過電圧が加わっているときの機能的信頼性を高めると同時にHEPLの構成を簡略化する、という前掲の目的を達成することができる。] 図面の簡単な説明 [0030] 螺旋襞及びT字状金属平板電極複数個を有する碍子の一例を示す縦断面図である。 図1に示した碍子の断面図である。 螺旋襞及びそれに埋め込まれた短尺金属円筒状電極複数個を有する碍子の一例を示す縦断面図である。 図3に示した碍子の断面図である。 図3及び図4に示した碍子における螺旋襞の一例構成を示す部分拡大断面図である。 図3及び図4に示した碍子における螺旋襞の別例構成を示す部分拡大断面図である。 絶縁コア及びその表面に配列された絶縁素子複数個を有する長幹碍子を示す前面図である。 図7に示した碍子の電極配置線沿い部分拡大断面図である。 円盤状絶縁コア及びその下面上に位置する螺旋襞を有する円盤碍子を示す前面図である(一部断面)。 図9に示した碍子の底面図である。 図9及び図10に示した碍子の部分拡大破断底面図である。 その碍子のうち図11に示したのと同じ部分の前部断面図である。 絶縁コア及びその下縁沿いに配された中間電極群を有する円錐碍子を示す前面図である(明瞭化のため一部を透明化して図示)。 図13に示した碍子の底面図である。 本発明に係る碍子を部品として使用したHEPL用連碍子を示す斜視図である(明瞭化のため一部を透明化して図示)。 円盤状の絶縁コア及びその下面に同心形成された襞を有する円盤碍子を示す前面図である(一部は断面)。 図16に示した碍子の底面図である。 本発明の一実施形態に係るHEPLの要部概略図である。 本発明の他の実施形態に係るHEPLの要部概略図である。] 図1 図10 図11 図13 図16 図3 図4 図7 図9 実施例 [0031] 以下、別紙図面を参照して説明を行う。] [0032] 図1及び図2に、本発明の第1実施形態に係る碍子の第1構成例100を示す。これは、磁器等の硬質誘電体で形成された円筒状の単体型支持碍子であり、円筒状の絶縁コア2に絶縁性の螺旋襞3を設けた構成を有している。その用途は、図18に示したタイプのHEPL等、高電圧が加わる導体1の位置を固定することであり、そのための固定具としては金属製の第1締結要素(図示せず)及び第2締結要素15が使用されている。高電圧導体1はその第1締結要素によって本碍子100の上部に連結されており、本碍子100の下部は第2締結要素15によって導電性の接地側支持部16(図18参照)に連結されている。] 図1 図18 図2 [0033] また、本碍子100はm個の中間電極5からなるMESを備えている。この電極5の個数mには下限値があり、その値はLFAL−10向けに導き出されている原理に従い定めることができる。LFAL−10、即ち10kV定格のループ型ロングフラッシュオーバ避雷器は特許文献9(H02H 3/22,2007年)に記載のMESを備える避雷器であり、高電圧電力線にて広く利用されている。その稼働実験で確認されている通り、LFAL−10を用い雷に対する保護を図る場合、波尾電流の初回零交差時点でアークが沈静されるようMES電極個数を15個以上にする必要がある。その想定用途が3kV以上の電圧向けの電力線であることを踏まえると、本碍子100におけるMES電極総数mは5個以上にする必要があろう。] [0034] 本碍子100の場合、それらの電極5は螺旋襞3の外周面(頂面)に固定されており、隣り合う電極5間にはスパーク放電空隙が形成されている。前述の通り、その空隙の間隙距離gは0.5〜20mmの範囲内で任意に定めることができ、その好適値は数mm程度である。本碍子100に雷過電圧が加わることで100kVオーダ以上の強いインパルス放電電圧が発生した場合に、雷インパルスが通過した放電チャネルを(稼働周波数の波尾電流が実質的に生じないよう)直ちに消滅させたいのであれば、電極5の所要個数mは100個以上となる。スパーク放電空隙は、更に、電極5のうち端に位置しているもの(初段及び終段電極)と、第1及び第2締結要素のうち対応するものとの間にも形成されている。それらの空隙の間隙距離も上掲の距離g以上となるよう定めるのが望ましい。] [0035] 従って、高い雷過電圧が高電圧導体1に加わると、その導体1又はその連結手段(図示せず)に連結されている第1締結要素(図示せず)と、電極5のうちその導体1の近くにある初段電極と、の間の空隙が絶縁破壊する。次いで、隣り合う電極5間のスパーク放電空隙が連鎖的に絶縁破壊するカスケード放電を経て放電チャネル6が成長する。そのチャネル6は、最終的に、接地側支持部16に連結されている第2締結要素15に到達する。即ち、第1締結要素・初段電極5間区間、短い複数個の電極5間区間、並びに終段電極5・第2締結要素15間区間を含むチャネル6が形成されるため、第1締結要素で連結されている導体1と、第2締結要素15で連結されている支持部16との間が、そのチャネル6によって接続されるに至る。] [0036] このとき、電極5のうち負に帯電しているものの表面付近では、50〜100V程度の陰極電圧降下が発生する。電極が2個(陰極1個と陽極1個)しかない従来型の放電システムならば、合計放電電圧がkVオーダに上るため、こうした陰極電圧降下は目立たない。しかし、本碍子100では電極5を極めて多数使用している。その電圧クラスが10kVなら、稼働周波数の波尾電流を発生させずに放電を終息させるのに、およそ100個の電極5が必要となろう。そのため、本碍子100では陰極電圧降下の影響が現れやすい。即ち、電極5間の短い空隙で生じた陰極電圧降下が、放電チャネル6における総電圧降下の大部分を占めるため、電極5間の放電で解放されるエネルギが、そのチャネル6から解放されるエネルギの大部分を占めることとなる。その結果、電極5の温度が上昇してチャネル6の温度が低下する。そのチャネル6は、雷過電圧の影響で電極5に流れる雷電流が零値に達した後、素早く冷えてその抵抗値が増していく。この時点では、稼働周波数電圧がまだ本碍子100に印加されているが、チャネル6の総抵抗値が高くなっているため、放電は持続しないで終息に向かう。従って、本碍子100を用いたHEPLは緊急シャットダウン無しで稼働させ続けることができる。即ち、本碍子100は効果的な避雷器機能を有する高電圧碍子であるので、従来のHEPLと異なり、雷に対する保護に特化した避雷器を接続する必要もない。] [0037] また、碍子本来の機能は絶縁機能であるので、表面結露や汚濁が生じている状態で稼働周波数電圧を連続印加したときでも、その絶縁が確実に保たれることが求められる。この点に関し、露国のEIR(Electrical Installations Regulations)では実効沿面距離比lspを定めている。これは、その碍子又は連碍子で絶縁を確実に保てると保証できる実効的な沿面距離を、連続的な許容上限電圧降下Upermで除した値である。例えば、6〜750kVクラスのHEPLで使用される支持連碍子や、金属製の支持部上で使用されるピン碍子に関しては、EIRは、その実効沿面距離比lspとして1.4〜4.2cm/kVの範囲内の値を規定している。どういった値にすべきかは、電力線種別、電圧クラス並びに汚濁の度合いによって左右される(非特許文献3参照)。従って、本碍子100の場合、高電圧導体1と、接地側支持部16に接続されている接地側の第2締結要素15と、の間に発生する沿面リーク経路の全長(総沿面距離)LΣを、次の式 LΣ=Uperm×lsp (1) で与えられる値以上にしなければならない。] [0038] このリーク経路は、高電圧導体1又はその連結手段17に連結されている第1締結要素から電極5のうち導体1に最も近い初段電極に至る沿面リーク経路(長さ=lleak1)、m個の電極5間に生じる沿面リーク経路(合計の長さ=(m−1)×lleak0)、並びにm番目に位置する終段電極5から接地側の第2締結要素15に至る沿面リーク経路(長さ=lleakm)から構成されている。従って、総沿面距離LΣはそれらのリーク経路の長さの和であるので、lleak1=lleak0=lleakmならば式(1)を (m+1)lleak0=Uperm×lsp (2) と書き換えることができる。この式(2)を変形して得られる次の式 lleak0=Uperm×lsp/(m+1) (3) に、前述の如く波尾電流を終息させうるよう設定した電極総数mを代入することで、隣接する中間電極5間の沿面距離lleak0についてその許容下限値を求めることができる。式(3)から読み取れるように、その値は、電力線における許容上限電圧降下Uperm、実効沿面距離比lsp、並びに電極5の個数mで決まっている。] [0039] 従来型碍子であれば、絶縁性螺旋襞3の頂部平坦面に沿ったリーク経路は、高電圧導体1から第2締結要素15に至る最短のリーク経路とはならない。絶縁コア2の円筒面に沿った螺旋状リーク経路の方が短いからである。しかし、碍子100の襞3の頂面上にMESの電極5を配するとその面に沿った螺旋状リーク経路が短くなるため、電極5の個数mが十分に多いと、上掲の経路ではなくこちらの経路の方が、導体1から第2締結要素15に至る最短のリーク経路になってしまう。式(3)から読み取れるように、この経路では許容上限電圧降下Upermが小さくなるためその碍子の絶縁性が相応に低下する。こうした不本意な結末を避けるため、本碍子100では、図2の如く、電極5のうち襞3から張り出す部分をT字状にして幅広な梁部8を持たせる一方、個々の電極5に備わる幅狭な脚部4でその電極5を襞3に固定するようにしている。こうすると、電極5の脚部4によって襞3が複数部分に分断される。それらの部分は、電極5間の空隙と共に、MESを設けたことに伴う碍子沿面リーク経路短縮分を補償する補償手段として働く。また、襞3の縁に沿った絶縁部分の全長は電極5の存在によって短縮されるが、脚部4が幅狭であるのでその短縮分は小さい。] 図2 [0040] MESを構成する電極5がこうした形状であるので、図2に示すように、隣り合う電極5間の沿面距離lleak0がスパーク放電空隙距離gよりも大きくなる。従って、本碍子100でも、螺旋襞3に沿った経路ではなく絶縁コア2の円筒面に沿った螺旋状の経路の方が、高電圧導体1から第2締結要素15に至る最短のリーク経路となる。言い換えれば、本碍子100では、その絶縁性を全面的に保ちつつ、新たに避雷器としての特性が実現されている。また、本碍子100に求められる絶縁性の水準がさほど高くない場合、全ての隣接電極対で上掲の(即ちやや複雑な形状の)電極5を使用する必要はなく、そのうち一部(k対)の電極5だけで使用すれば足りる。kの値は、絶縁コア2の円筒面における沿面距離と襞3の頂面における沿面距離との関係に基づき決めればよい。その最適値は3≦k≦m−1の範囲内にある値である。残りの電極5の形状は、より簡略で製造が容易な形状、例えば平板、バー乃至円筒とすればよい。] 図2 [0041] そして、電極5間の空隙に塵埃がたまりにくいため、本碍子100はかなり汚れた雰囲気中でも使用することができる。] [0042] 図3及び図4に、本発明の第1実施形態に係る碍子の第2構成例100を示す。本碍子100も円筒状であり、その固定具として2個の締結要素が使用されている(図3には第2締結要素15のみを図示)。本碍子100も、その螺旋襞3上に複数個の電極5を配してMESを形成する構成を採っているが、前掲の第1構成例と違い、それらの電極5が略円筒状の短尺金属部品で形成されていて、本碍子100の外部ではなく内部、具体的には襞3の内部に埋め込まれている。更に、その襞3には複数個の切れ込み7が形成されている。この例における切れ込み7は、その幅がa、深さがbのスロットである。深さbは電極5の埋込先部位よりも深い。幅aは電極5間に形成される短いスパーク放電空隙の間隙距離g(好ましくは数mm)以上であり、電極5はその空隙によって相互に分離されている。] 図3 図4 [0043] 拡大図たる図5に明示されているように、本碍子100では、隣り合う電極5間の沿面距離lleak0を増大させる補償手段が、螺旋襞3を形成している絶縁素材層、即ち電極5を螺旋襞3の表面から隔てている層と、切れ込み7との協働によって形成されている。こうした構成であればより容易に製造することができる。更に、放射方向に延びる深さbの切れ込み7のうち本碍子100の軸に近い部分の深さcを変化させるだけで、或いは電極5を襞3の表面から隔てる絶縁素材層の厚みを変化させるだけで、必要に応じ距離lleak0を変化させることができる。加えて、図5から読み取れるように、切れ込み7の幅を間隙距離gより大きくすることでも距離lleak0を大きくすることができる。] 図5 [0044] 図6に、切れ込み7の形状を工夫することで沿面距離lleak0を大きくした変形例を拡大して示す。この例では、切れ込み7のうち電極5より深いところにある部分を相応の形状例えば円筒状にすることで、その電極5より深い部分における切れ込み7の対向面間隔を、螺旋襞3の表面付近における切れ込み7の幅gより大きくしている。明らかな通り、この形状では沿面距離lleak0が大きくなるので、電極5の使用に起因した碍子沿面距離短縮分を補償する補償手段の効果が高まる。] 図6 [0045] また、本碍子100に課される具体的な条件や、本碍子100に纏わる他のパラメタ間の関係、例えば絶縁コア2の直径や螺旋襞3の全長を踏まえ、上掲の特別な(即ち製造がやや難しい)形状にし又はその深さbを大きくする切れ込み7を、一部の切れ込み7だけに留めるようにしてもよい。] [0046] 図7及び図8に、本発明の第1実施形態に係る碍子の第3構成例101を示す。本碍子101は長幹状であり、長幹状の第2締結要素15で接地側支持部16に固定されている。その絶縁コア2は釣り鐘状の面を有しており、その面上には螺旋沿いにm個の絶縁素子9が並んでいる。この絶縁素子9は電極5間のリーク経路を延ばす補償手段として機能している。電極5はその絶縁素子9内に固定されており、またその素子9から突出している。絶縁素子9の形状は例えば平板状、バー状又は円筒状、素材は例えばシリコンラバーであり、接着等でコア2に固定されている。] 図7 図8 [0047] また、この例では、円筒状になるよう電極5が細長いワイヤで形成されており、電極5間が1〜数mm程度の距離gを有する短いスパーク放電空隙で隔てられている。補償手段が絶縁素子9によって形成されているので、隣り合う電極5間の沿面距離lleak0は、図8に示す如く、隣り合う絶縁素子9のそれぞれに沿ったリーク経路の長さと、絶縁コア2のうちそれら隣り合う電極5で挟まれている面に沿ったリーク経路の長さとの和、即ち2c+aとなる。こうした構成では、沿面距離lleak0が、間隙距離gに比べても、個々の電極5の長さに比べてもかなり長くなる。稼働周波数電圧が加わる空隙の絶縁破壊強度は、汚れ又は濡れている絶縁面に沿った放電電圧に比べかなり高いので、こうして絶縁素子9上に電極5を実装し、電極5が並ぶ線に沿った総沿面距離の短縮分を補償させることが有益である。即ち、本碍子101では、その絶縁性を全く低下させずに、避雷器としての特性を向上させている。しかも、本碍子101には、標準的な量産型磁器製長幹碍子を利用し製造できる、という大きな現実的意義がある。] 図8 [0048] 反面、絶縁コア2の表面に多数の絶縁素子9を固定する必要があるため、本高電圧碍子101の製造工程はやや込み入ったものとなりうる。これを避けるには、素子9を複数個結合させた構成を有する1個又は複数個の長尺絶縁素子を形成し、コア2の表面から突出するようその又はそれらの長尺絶縁素子を設ければよい。例えば、その又はそれらの長尺絶縁素子を螺旋状にし、絶縁性螺旋襞を1本又はn本形成するようにすればよい。] [0049] 図9〜図12に、本発明の第1実施形態に係る碍子の第4構成例102を示す。これは、円盤状の懸垂碍子を変形したものであり、懸垂連碍子を構成する個別の碍子としても使用することができる。本碍子102は円盤状であり、円盤状の絶縁コア2の底面(下面)に絶縁性の螺旋襞を2本形成した構成を有している。それらの螺旋襞のうち1本(10)は専ら絶縁用であり、MES使用時に最短沿面距離を実現するのに使用されている。他の1本(3)の躯体には複数個の電極5が埋め込まれており、また電極5間を分ける切れ込み7が形成されている。切れ込み7は、図5及び6に示した形状でもよいが、この例では図10及び図12に示す如く円形孔となっている。本碍子102では、避雷器としての性能を高めるため、こうして気体入りの放電室が電極5間に形成されている。] 図10 図11 図12 図5 図9 [0050] 本碍子102では、図示しない電線、それとの連結手段又は(同じ連碍子でその前段に位置している)別の碍子の第2締結要素12(例えばピン)に、第1締結要素たるキャップが接触しているので、インパルス状の過電圧が発生すると、そのキャップ11から絶縁コア2の上面に沿ってMESの初段電極5へと図9の如く放電が進行する。次いで、図10に示す如く、電極5間の空隙が連鎖的に絶縁破壊してピン12までその放電が進行する。放電が進行する方向は図9及び図10中に矢印で示した通りである。こうしてスパーク放電のチャネルが形成されると、そのスパーク放電チャネルは超音速で拡幅する。電極5間に形成されている放電室の容積はかなり小さいので、それに伴いその内部で高い圧力が発生する。その圧力を受け、電極5間に形成されているスパーク放電チャネルはまずコア2の外面方向に押され、次いでコア2周囲の空気中に押し出されていく。こうした押圧力が作用するので、図1〜図8に示した諸構成に比べ、アーク沈静能が有意に高くなる。反面、気体入りの放電室になる切れ込み7は汚れやすい。そのため、図9及び図10に示す如く切れ込み7が設けられている碍子102は、外気の汚れが少ない場所で使用するのが望ましい。] 図1 図10 図2 図3 図4 図5 図6 図7 図8 図9 [0051] これら、第1実施形態に係る碍子の絶縁機能及び避雷器機能は比較試験で確認済である。供試品となったのは二種類の直流3kVクラス碍子である。一方の碍子は(1)螺旋襞を有する磁器製の懸垂碍子、具体的にはチェコ共和国所在の企業Elektroporcelean Louny a.s.によって製造されたL3036−12(商品名)である。他方の碍子は(2)そのL3036−12に本発明の第1実施形態を適用した碍子、即ちその襞沿いに絶縁素子9を複数個配すると共にMESを形成した碍子である。絶縁素子9やMESを構成する電極5は図8に示す構成とした。より具体的には、2mm径のステンレス鋼線を10mm長に切断したものを電極5、10mm幅・8mm高のシリコンラバー製バーを7mm長に切断したものを絶縁素子9とし、前者を後者に刺して使用した。絶縁素子9の上部は半球状とした。絶縁素子9は特殊なシリコーン(登録商標)系接着剤で螺旋襞の端面に接着した。] 図8 [0052] 両碍子の主要パラメタを表1に示す。] [0053] 螺旋襞の端面長が約2500mm、電極総数mが240、電極間間隙距離gが0.5mmであるため、総空隙長G=(m+1)×gは(240+1)×0.5=120mmとなる。前掲のEIRで規定されている実効沿面距離比lspの値が外気の汚れ具合に応じ1.4〜4.2cm/kVの範囲内で定まることと、供試品の直流電圧クラスUが3kVであることを踏まえ計算すると、それらの碍子の総沿面距離Lleak=U・√3・lspは3・√3・(1.4÷4.2)=7.3÷22cmとなる。] [0054] この計算から判る通り、MESを導入しただけの碍子ではその総沿面距離Lleakが不許水準まで短くなる可能性がある。これに対し、第1実施形態碍子では、MES導入に伴う沿面距離短縮分を補償する手段として絶縁素子9を導入したため、隣接電極間沿面距離lleak0が2c+aに拡がっている。供試品ではa=c=2.5mmであるのでこの距離lleak0は7.5mmに等しく、螺旋襞を辿る経路沿いに配置された電極間の総沿面距離Lleak=(m+1)×lleak0は従って(240+1)×7.5=1807.5mm≒181cmに等しい。即ち、第1実施形態碍子では、その汚れ具合によらずほぼ全ての領域でLΣ>Lleakが成り立っている。] [0055] また、表1には、両碍子に稼働周波数電圧や雷インパルスを印加する試験の主な結果も示してある。まず、稼働周波数電圧のみを印加した場合の放電特性は、どちらの碍子も概ね同じ特性であった。これは、稼働周波数電圧に対する碍子の絶縁性が電極の配設で損なわれないことを意味している。] [0056] 次に、オシログラフを用い計測したところによれば、衝撃的な雷インパルスを受けたときに、従来型碍子では電圧がほぼ0値まで低下している。これは、最短経路を辿り気中を過ぎるフラッシュオーバが発生したため、言い換えればその抵抗値が極めて小さな放電チャネルが形成されたためである。従って、この従来型碍子が電力線に実装されている場合、雷インパルスを受けてフラッシュオーバが発生したときに、そのフラッシュオーバに係る放電チャネルに大きな波尾電流が流れることとなる。即ち、電力線の回路短絡が生じるため、接続先の送配電網を緊急シャットダウンすることが必要になる。] [0057] 対するに、第1実施形態碍子では、複数個の電極を巡る螺旋状の経路を辿りフラッシュオーバが進行するため、電圧値が0値まで低下することはない。寧ろ、その直流電圧クラス(稼働周波数電圧)=3kVよりも高い4kV程の電圧が実質的に残留する。これは、その碍子が避雷器として好適に機能し雷過電圧が碍子で遮断されるため、大きな波尾電流が生じえないこと、ひいては送配電網をシャットダウンする必要がないことを意味している。] [0058] 以上、本発明の第1実施形態に係る碍子及びHEPLの基本構成や動作原理を明示すべく幾つかの構成例及び変形例について説明を行った。いわゆる当業者には自明な通り、それらの構成例乃至変形例に施せる改変は数多くある。] [0059] 例えば、中間電極の形状を、図1及び図2に示したT字状ではなく、より製造が容易なL字状にしてもよい。沿面距離を増やすべく電極側面を絶縁層で被覆してもよい。図9及び図10に示した構成では、絶縁螺旋襞3及び10のうち襞3のみにMESを実装したが、その双方にMESを実装することもできる。そうした場合、衝撃的な雷過電圧が加わったときに、双方のMESが機能して波尾電流がMES間分流されることから、波尾電流をより容易に沈静させることができる。更に、図1〜図6及び図18に示した碍子をそれ単体で使用するのではなく、複数個の碍子からなる連碍子の構成要素として使用することもできる。そして、本発明に係る碍子やそれを構成要素とする連碍子は、HEPLに限らず様々な高電圧設備で利用することができる。導体の固定に限らずブスバーの固定等にも使用することができる。] 図1 図10 図18 図2 図3 図4 図5 図6 図9 [0060] 図13及び図14に、本発明の第2実施形態に係る碍子の第1構成例150を示す。これは、テーパ付の絶縁コア21及びそれに付随する固定具で構成されている。その固定具のうち第1締結要素として使用されているのは金属製のロッド12であり、第2締結要素として使用されているのはキャップ11である。空気力学的特性がよい形状であるため汚濁の進行が遅いので、本碍子150は、外気がひどく汚れている環境でも使用することができる。また、その絶縁コア21の下縁には、中間電極22が距離gの間隙26を隔てて複数個配されており、それらの電極22によってMES25が形成されている。碍子下縁は大部分そのMES25によって占められているが、残りの小部分には中間電極22が設けられていないため、MES25の端部間には距離Gの間隙29が生じている。図14では、それらの端部が本碍子150の中央を通る縦線の左右に描かれている。そのうち左側の端部は下側の第1リンク電極24、右側の端部は上側の第2リンク電極23とそれぞれ対向している。第1リンク電極24とそれに対向する端部(初段の中間電極22)との間には距離S2のスパーク放電空隙28、第2リンク電極23とそれに対向する端部(終段の中間電極22)との間には距離S1のスパーク放電空隙27がそれぞれ形成されている。第1リンク電極24は本碍子150のロッド12、第2リンク電極23は同じくキャップ11に、それぞれ電気的に接続されている。] 図13 図14 [0061] 図15に、この碍子150で構成された連碍子300の一部分を示す。図示した部分は2個の碍子150から構成されており、1個目の碍子150(下側)に備わる第1締結要素(この例ではキャップ11)と、2個目の碍子150(上側)に備わる第2締結要素(この例ではロッド12)とが連結されている。上側にある碍子150のキャップ11は図19に示すHEPLの支持部16に、下側にある碍子150のロッド12はHEPLの高電圧導体1に連結されている。より多数の碍子150で連碍子300を構成する場合は、上側にある碍子150のキャップ11がより上側の碍子のロッドに連結されることも、また下側にある碍子150のロッド12がより下側の碍子のキャップに連結されることもある。なお、明瞭化のため、この図では碍子本体を透明にしてある。] 図15 図19 [0062] この構成では、碍子150に過電圧が加わると、図13中の空隙27及び28が絶縁破壊してMES25に過電圧が加わるため、中間電極22間のスパーク放電空隙26が連鎖的に絶縁破壊していく。最終的には、複数個の小区間からなる放電チャネルを介しその碍子150のキャップ11・ロッド12間が電気的に接続される。この放電機構は、過電圧による電流が0値に減少するとすぐに、その放電を終息させる機構として働き出す。特記すべきことに、MES25が碍子150の下縁に位置しているため、MES25を設けたことによる絶縁性の低下が実質的に発生しない。即ち、MES25の位置がその碍子150を取り巻く電界の等電位同心線の上であり、その線が最短リーク経路と直交しているため、碍子150の上面及び下面に沿ってキャップ11からロッド12に至るリーク経路の沿面距離が電極22の幅分しか短くならない。例えばPSK−70(製品名)にその幅が5mmの電極22を設けた場合、碍子表面に沿ったリーク経路長が310mmから5/310=1.6%縮まるだけである。このことは、電極22同士が導電性の塵埃で接続される高汚濁且つ高湿な環境でも成り立つ。リンク電極23及び24は碍子150の上面及び下面のうち対応する面から数cm離れた位置にあるので、それらの影響で碍子150のリーク経路が短くなることはない。従って、碍子150の端から端に至る放電の経路は、図13〜図15に矢印で示した経路となる。即ち、本連碍子300の使用中に衝撃的な過電圧が加わると、まずHEPLの高電圧導体1に連結されている初段の碍子150(この例では下側にある方)でスパーク放電空隙の絶縁破壊が起きる。その過電圧が次段の碍子150に加わると、その碍子150のスパーク放電空隙でも絶縁破壊が起きる。3個以上の碍子で構成されている連碍子では、同様の絶縁破壊プロセスがそれらの碍子で順繰りに起こっていく。] 図13 図14 図15 [0063] 前述の通り、MES25を構成する中間電極22の総数mは5以上とされる。より具体的には、中間電極22の個数mや、中間電極22間にあるスパーク放電空隙26の間隙距離g、MES25の端部間にある間隙29の距離G、並びにリンク電極23,24とそれと対向する端部上の電極22との間にある間隙27,28の距離S1,S2(符号同順)は、衝撃的な過電圧が加わりその碍子150でフラッシュオーバが進行するとき、間隙29での放電無しで、前述した流れに従い進行するよう選定される。従って、間隙29の放電電圧をスパーク放電空隙m個分の放電電圧より高くすること、即ち間隙29の距離Gをm個あるスパーク放電空隙(距離g)の合計間隙距離に比べ実質的に大きくすること(G>m×gにすること)が求められよう。間隙27,28の距離S1,S2(符号同順)は実験的に決めればよい。] [0064] 例えば、絶縁コア直径D=330mmのPSK−70シリーズ碍子に本実施形態を適用し、その碍子に最高電圧300kV、インパルス幅1.2/50μsの雷インパルスを印加した場合、各種パラメタをG=90mm、S1=S2=20mm、g=0.5mm、m=140とすれば所要の保護機能を実現できることが、実験により判明している。] [0065] 図16及び図17に、本発明の第2実施形態に係る碍子の第2構成例200を示す。本碍子200は広範に利用されている円盤碍子をベースにしたものであり、円盤状の絶縁コア21の下面(底面)上に絶縁性の襞10を3個同心に形成した構成を有している。図13及び図14に示した構成と同様、本碍子200でも複数個の中間電極によってMES25が形成されているが、そのMES25は3個の部分25−1〜25−3に分割されており、それぞれ3個ある襞10のうち対応するものの端面(下面)上に配置されている。MES25の分割数は想定している碍子使用条件、例えば想定している過電圧値及びそれに適する中間電極総数に依存するので、MES25を分割せず例えば最外周に位置する襞10をその形成先とすることや、MES25を二分割し襞10のうち任意の2個をその形成先とすることもあり得る。ともあれ、本碍子200でも、MES25を構成する中間電極22全てが、本碍子200を取り巻く交流電界の等電位線上、即ち本碍子200の表面に沿ったリーク経路に対し直交する線上に並んでいる。また、本碍子200では、そのキャップ11に連結されている第2リンク電極(上側のリンク電極)23と、MES25の構成部分のうち最外周の襞10上に実装されている第1部分25−1の左端とが対向している(この説明でいう左右は図17に向かっての左右である;以下同様)。その部分25−1の右端はいずれの締結要素にも直結されておらず、そこには接続電極30が固定されている。MES25の構成部分のうち中間の襞10上に配置されている第2部分25−2の右端、即ち第1部分25−1の右端と対向する端部にも接続電極31が固定されており、それら接続電極30・31間には距離Spの第1スパーク放電空隙32が形成されている。更に、第2部分25−2の左端にも接続電極33が固定されている。] 図13 図14 図16 図17 [0066] 同様に、MES25の構成部分のうち最内周の襞10上に配置されている第3部分25−3の左端、即ち第2部分25−2の左端と対向する端部にも接続電極34が固定されており、接続電極33・34間には距離Spの第2スパーク放電空隙35が形成されている。更に、第3部分25−3の右端には第1リンク電極24が接続されており、その電極24と本碍子200のロッド12との間にも距離Spの第3スパーク放電空隙36が形成されている。] [0067] 従って、本碍子200では、衝撃的な過電圧が加わると、上側のリンク電極23と、MES25の第1部分(最外周部分)25−1の左端電極22と、の間にある間隙27がまず絶縁破壊する。次いで、その部分25−1に属する中間電極22間の放電空隙が連鎖的に絶縁破壊していく。それらの放電空隙が全て絶縁破壊した後は、第1部分25−1側の接続電極30と第2部分25−2側の接続電極31との間にある間隙32が絶縁破壊する。その後は、MES25の第2部分25−2内にある全放電空隙、第2部分25−2側の接続電極33と第3部分25−3側の接続電極34との間にあるスパーク放電空隙35、第3部分25−3内にある全放電空隙、そして第1リンク電極24とロッド12との間にあるスパーク放電空隙36、という順で絶縁破壊が進む。即ち、フラッシュオーバが図16及び図17に示した経路に沿い進行する。複数個の小区間に分かれた放電チャネルを介しキャップ11・ロッド12間が電気的に接続される仕組みであるので、この放電機構では、前述の通り、過電圧による電流が0値に減少した後に放電が速やかに終息することとなる。] 図16 図17 [0068] このように、絶縁襞複数個を同心配置しその上に中間電極22を配した構成では、電極22の個数を最大限に増やし、過電圧による放電チャネルをより効果的に沈静させることができる。更に、MES25を構成している全ての中間電極22が、本碍子200を取り巻く稼働周波数電界の等電位線上、即ち本碍子200の最短リーク経路に直交する線上に並んでいるため、MES25を導入したことに伴う碍子沿面距離の短縮分が、電極22の幅にMES構成部分の個数(上の例では3)を乗じた距離に留まる。] [0069] 同様に、MES25を構成する部分が例えば25−1及び25−2の2個しかない構成では、そのMES25の一端を第2リンク電極23、他端を第1リンク電極24にそれぞれ対向させればよいので、接続電極のうち2個(33及び34)を省略することができる。同心状に形成されている絶縁性の襞10のうち1個(例えば最外周のもの)だけにMES25の電極が配されている構成では、接続電極を設ける必要がない。碍子沿面距離の短縮分は、前者の構成では中間電極幅の2倍となり、後者の構成では中間電極幅に等しくなる。] [0070] これら、本発明の第2実施形態に係る碍子の絶縁機能及び避雷器機能についても、比較試験によって確認済である。供試品となった碍子は二種類であり、いずれもその交流電圧クラスが10kVのものである。一方の碍子はガラス製の懸垂碍子PSK−70であり、滑らかなテーパの付いた絶縁コアを有している。他方の碍子はそのPSK−70に本発明の第2実施形態を適用した碍子、即ちその絶縁コアの下縁に複数個の中間電極22を図13〜図15の如き要領で配した碍子である。電極22としてはM2.5のナットを使用し、特殊なエポキシ系接着剤でそれを絶縁コアの表面に接着した。隣り合うナットの側平面間の距離、即ち隣接電極間空隙26の間隙距離gは0.5mmとし、MES端部間の距離、即ち間隙29の距離Gは90mmとし、そして間隙27,28の距離S1,S2はいずれも20mmとした。] 図13 図14 図15 [0071] 表2にその他の基本的碍子パラメタを示す。] [0072] 両碍子を対象に行った試験は、稼働周波数電圧や雷インパルスをそれらに印加する試験である。表2にはその試験の主な結果も示してある。] [0073] まず、稼働周波数電圧のみを印加した場合の放電特性は、どちらの碍子も概ね同じ特性であった。これは、稼働周波数電圧に対する碍子の絶縁性が、電極の配設によっては損なわれないことを意味している。] [0074] また、第2実施形態碍子のインパルス放電電圧は、従来型碍子のインパルス放電電圧=90kVより低い70kVとなっている。これは、第2実施形態碍子におけるフラッシュオーバが、従来型碍子と違いコア表面ではなくMESに沿って進行するためである。従って、第2実施形態碍子を従来型碍子に並列接続し避雷器として使用することが可能である。] [0075] 次に、衝撃的な雷インパルスを受けたとき、従来型碍子では、オシログラフを用い計測したところ電圧がほぼ0値まで低下していた。これは、最短経路を辿り気中を過ぎるフラッシュオーバが発生したため、言い換えればその抵抗値が極めて小さな放電チャネルが形成されたためである。従って、この従来型碍子が電力線に実装されている場合、雷インパルスを受けてフラッシュオーバが発生すると、そのフラッシュオーバに係る放電チャネルに大きな波尾電流が流れることとなる。即ち、電力線の回路短絡が生じるため、接続先の送配電網を緊急シャットダウンすることが必要になる。] [0076] 対するに、第2実施形態碍子では、複数個の電極が並ぶMESを辿りフラッシュオーバが進行するため電圧値が0値まで低下することはなく、6kVほどの電圧が実質的に残留する。従って、10kV定格のHEPLで使用する場合、この懸垂碍子を2個用いて連碍子を構成すればよい。PSK−70をベースとした第2実施形態碍子を2個用いた場合、残留電圧の合計値が6kV+6kV=12kVとなり、そのHEPLの最高相電圧Upl=Unom×1.2/1.73=10×1.2/1.73=7kVをかなり上回るからである。このことは、その碍子が避雷器として好適に機能し雷過電圧が碍子で遮断されるため、大きな波尾電流が生じえないこと、ひいては送配電網をシャットダウンする必要がないことを意味している。] [0077] 以上、本発明の第2実施形態に係る碍子の基本構成や動作原理を明示すべく幾つかの構成例及び変形例について説明を行った。いわゆる当業者には自明な通り、それらの構成例乃至変形例に施しうる改変は多数ある。例えば、リンク電極からのアークのずれを抑えるためリンク電極を絶縁層で被覆してもよい。図13及び図14に示した構成にて、同心状に形成されている複数個の円に沿いMESを形成するようにしてもよい。中間電極総数を増やせるので波尾電流沈静効果を強めることができる。但し碍子のコストは若干増加する。そして、等電位線に対する中間電極の位置ずれが多少あってもかまわない。これを認めれば、第2実施形態に係る碍子の製造がより容易になる。] 図13 図14 [0078] 図18に、図1及び図2に示した碍子100を備える10kV定格HEPLの一例110を示す。まず、10kV定格HEPLでは、過電圧が原因でシャットダウンを余儀なくされることが多い。露国では、HEPLでそうしたシャットダウンが生じないようにするためLFAL−10型避雷器が使用されている。LFAL−10を使用する場合、相毎に支持ポールを設け、その支持ポール上にLFAL−10を連結するのが普通である。例えば、順に相A、B及びCに対応する第1、第2及び第3の支持ポール上に避雷器を実装する。図18に示すHEPL110でも、本発明に係る碍子、例えば図1〜図6に示した螺旋襞付碍子100又は図7及び図8に示した長幹碍子101が、互いに別の相に係る支持ポールに1ポール当たり1碍子の要領で連結されている。残りの碍子18は従来型碍子でかまわない。また、どの相に係る碍子も、図9〜図12に示した円盤碍子102からなる連碍子に置き換えることもできる。] 図1 図10 図11 図12 図18 図2 図3 図4 図5 図6 [0079] 図19に、本発明に係る碍子を備える35kV定格HEPLの一部分を示す。このHEPLは、互いに別の相に係る3本の高電圧供給用導体1を円盤碍子からなる連碍子300に連結し、その連碍子300を自HEPL内の支持部16(図示したのはその一部分)に固定した構成を有している。更に、図中で上部に配置されている相の導体1は、本発明に係る碍子で形成された連碍子300(図13〜図15参照)によって位置固定されている。従来の35kV定格HEPLでは避雷針アセンブリが雷に対する保護に使用されていたが、ここでは本発明に係る碍子で形成された連碍子300を上部の導体1向けに設けてあるので、そうした避雷針アセンブリは不要である。これは、落雷を受けると本発明の連碍子300がフラッシュオーバし、多数の中間電極で構成されているMESに沿い雷による電流が流れるためである。即ち、フラッシュオーバが稼働周波数波尾電流のアークに転化することがないので、HEPLをシャットダウン無しで稼働させ続けることができる。注記すべきことに、諸相の導体1のうち上部に配置されている相の導体1は、下部に配置されている相の導体1を守る避雷針として機能している。即ち、下部に配置されている相の導体1に直接落雷することを、上部に配置されている相の導体1が防いでいる。] 図13 図14 図15 図19 [0080] また、その比抵抗が高い土壌を有する地域を通るHEPLでは、避雷針を使用しても役に立たない場合がある。例えば、避雷索や接地側支持部16に落雷したときに、支持部16を含む電気回路の抵抗値が高いため、支持部16から導体1に向かう逆方向のフラッシュオーバが発生する場合である。こうした場合でも、本発明に係る碍子で形成された連碍子を三相全てで使用すれば、そのHEPLを雷過電圧から確実に保護することができる。] [0081] 上述のものを含め、本発明の諸実施形態及びその構成例は、別紙特許請求の範囲に記載されている発明の技術的範囲に属するものである。]
权利要求:
請求項1 電力設備又は電力線を構成する高電圧導体をそれ単体で又は共に連碍子を構成する他の高電圧碍子と協働して位置固定する高電圧碍子であって、絶縁コアと、その絶縁コアの端部に固定具として備わる第1及び第2締結要素と、を備え、そのうち第1締結要素が、上記高電圧導体に対し、或いはその連碍子中でその前段にある高電圧碍子の第2締結要素に対し、直に又は連結手段を介して連結できるよう構成されており、またその第1締結要素とは逆側の端部にある第2締結要素が、上記高電圧導体用の支持部に対し、或いはその連碍子中でその次段にある高電圧碍子の第1締結要素に対し連結できるよう構成されている高電圧碍子において、衝撃的な雷過電圧が加わったときに、上記第1締結要素とそれに隣接する1個又は複数個の電極との間、隣り合う電極の間、並びに上記第2締結要素とそれに隣接する1個又は複数個の電極との間でそれぞれ放電が生じるよう、上記絶縁コアに連結され且つその絶縁コアの端部間に配されたm個(但しm≧5)の電極からなる多電極系即ちMESと、上記MESが原因で発生する碍子沿面距離の短縮分を補償する補償手段と、を備えることを特徴とする高電圧碍子。 請求項2 請求項1記載の高電圧碍子であって、上記補償手段が、その隣接電極間リーク経路の長さが隣接電極間放電空隙の間隙距離に上記電極1個分の長さを加えた長さより大きくなるよう、上記電極のうちk対(但し3≦k≦m−1)の隣り合う電極間に、絶縁面に沿った隣接電極間リーク経路を発生させることを特徴とする高電圧碍子。 請求項3 請求項2記載の高電圧碍子であって、上記電極が、それぞれ、上記絶縁コアへの装着に使用される幅狭な脚部と、その電極の隣にある電極の方を向く幅広な梁部と、を有するT字状の電極であり、隣り合う電極間に生じる空隙、並びにそれらの電極の脚部間にある絶縁コア構成部分が、上記補償手段として働くことを特徴とする高電圧碍子。 請求項4 請求項2記載の高電圧碍子であって、上記電極が本高電圧碍子に埋め込まれており、それらの電極を本高電圧碍子の表面から隔てる絶縁素材層、並びに本高電圧碍子の表面に達するよう隣り合う電極間に形成された切れ込みが、上記補償手段として働くことを特徴とする高電圧碍子。 請求項5 請求項4記載の高電圧碍子であって、上記切れ込みがスリット又は円形孔であることを特徴とする高電圧碍子。 請求項6 請求項4記載の高電圧碍子であって、上記切れ込みが、それぞれ、上記電極の埋込先部位に比べて深いことを特徴とする高電圧碍子。 請求項7 請求項6記載の高電圧碍子であって、上記切れ込みのうち、上記電極の埋込先部位より深い部分における対向面間隔が、浅い部分における対向面間隔よりも大きいことを特徴とする高電圧碍子。 請求項8 請求項2記載の高電圧碍子であって、上記電極が上記絶縁面から空間的に隔てられるよう当該絶縁面上に配された1個又は複数個の絶縁素子を備え、その絶縁素子が上記補償手段として働くことを特徴とする高電圧碍子。 請求項9 請求項8記載の高電圧碍子であって、上記絶縁素子のうちm個が、上記電極を1個ずつ担持する絶縁素子であることを特徴とする高電圧碍子。 請求項10 請求項8記載の高電圧碍子であって、上記絶縁素子のうちn個(但しn≧1)が、上記絶縁コアの表面から突出して絶縁性の螺旋襞を形成する絶縁素子であることを特徴とする高電圧碍子。 請求項11 請求項10記載の高電圧碍子であって、上記絶縁素子がm+n個あり、そのうちn個が、上記絶縁コアの表面から突出して絶縁性の螺旋襞を形成する絶縁素子であり、残りのm個が、上記電極を1個ずつ担持する絶縁素子であることを特徴とする高電圧碍子。 請求項12 請求項11記載の高電圧碍子であって、上記螺旋襞のうち少なくとも1個の端面に上記電極があることを特徴とする高電圧碍子。 請求項13 請求項12記載の高電圧碍子であって、隣り合う電極間に位置することとなるよう上記螺旋襞に形成された切れ込みを有することを特徴とする高電圧碍子。 請求項14 請求項1乃至13のうちいずれか一項記載の高電圧碍子であって、上記絶縁コアが、実質的に、円筒状、円錐台状又は円盤状であることを特徴とする高電圧碍子。 請求項15 請求項10記載の高電圧碍子であって、上記絶縁コアが実質的に平坦な円盤であり、上記第1締結要素が本高電圧碍子のキャップ、上記第2締結要素がピンとしてそれぞれ形成されており、上記螺旋襞のうち少なくとも1個が当該円盤の下面から突出することを特徴とする高電圧碍子。 請求項16 電力設備又は電力線を構成する高電圧導体をそれ単体で又は共に連碍子を構成する他の高電圧碍子と協働して位置固定する高電圧碍子であって、絶縁コアと、その絶縁コアの端部に固定具として備わる第1及び第2締結要素と、を備え、そのうち第1締結要素が、上記高電圧導体に対し、或いは連碍子中でその前段にある高電圧碍子の第2締結要素に対し、直に又は連結手段を介して連結できるよう構成されており、またその第1締結要素とは逆側の端部にある第2締結要素が、上記高電圧導体用の支持部に対し、或いはその連碍子中でその次段にある高電圧碍子の第1締結要素に対し連結できるよう構成されている高電圧碍子において、隣り合う電極間に放電が生じる配列になるよう上記電極コアに連結されたm個(但しm≧5)の電極を有し、本高電圧碍子を取り巻く稼働周波数電界の等電位線のうち1本又は複数本に沿い、本高電圧碍子の沿面リーク経路に直交するよう形成された多電極系即ちMESと、空隙によって上記絶縁コアから空間的に隔てられており、それぞれその一端が、静電的に又は空隙を介し上記第1及び第2締結要素のうち対応するものと電気的に接続されており、それぞれその他端が、空隙を介し上記MESの端部のうち対応するものと電気的に接続されている第1及び第2リンク電極と、を備えることを特徴とする高電圧碍子。 請求項17 請求項16記載の高電圧碍子であって、上記絶縁コアが円錐状であり、上記MESがその絶縁コアの上面又は下面上にあることを特徴とする高電圧碍子。 請求項18 請求項16記載の高電圧碍子であって、円盤碍子として形成された高電圧碍子において、上記絶縁コアが、その下面上に同心状の襞がある円盤状の絶縁コアであり、上記MESが、その襞のうち1個の端面上にあることを特徴とする高電圧碍子。 請求項19 請求項16記載の高電圧碍子であって、上記MESが、本高電圧碍子の沿面リーク経路に対し直交する方向に沿い互いに異なる位置にある等電位線上に配された複数個の部分を有し、それらMES構成部分の端部のうち固定具たる第1又は第2締結要素に接続されていない端部に接続電極が配されており、MES構成部分同士がその接続電極を介し対向しており、対向している接続電極同士が静電的に又は空隙を介し相互接続されることを特徴とする高電圧碍子。 請求項20 請求項19記載の高電圧碍子であって、円盤碍子として形成された高電圧碍子において、上記絶縁コアが、その下面上に同心状の襞がある円盤状の絶縁コアであり、個々のMES構成部分がその襞のうち対応するものの端面上に配列されたことを特徴とする高電圧碍子。 請求項21 支持部と、それ単体で又は連碍子の構成要素として使用される碍子と、少なくとも1個の高電圧導体と、を備える高電圧電力線であって、それ単体で使用される碍子、或いは連碍子を構成する碍子のうち初段の碍子が、その碍子に高電圧導体を直に又は連結手段を介し連結するための固定具となる締結要素を備え、それ単体で使用される碍子、或いは連碍子を構成する碍子のうちいずれかの支持部のそばにある碍子が、対応する支持部にその碍子を固定するための固定具となる締結要素を備える高電圧電力線において、上記碍子のうち少なくとも1個が請求項1乃至20のうちいずれか一項記載の高電圧碍子であることを特徴とする高電圧電力線。
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